5分以内で読めるショート・ホラー集
次の日も、また同じ番号からかかってきた。
無視してもよかった。むしろ、無視すべきだろう。

ただ、ひとつ気になることがあった。
昨日と同じタイミングにかかってきたことだ。
交差点を渡っている、まさにそのタイミングだ。

まさか、どこからか監視されている?

それとも、ただ同じような時刻にかけてきただけだろうか。
通勤時、この交差点を渡る時刻は大体決まっている。

気がかりだった。
かけてきた相手に、問い質してみたい。
着信を受け取った。


「君に触れたいよ」


電話を切った。
問い質すのは、やめた。

ねちっこい声質もまた、気色悪いのだ。
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