5分以内で読めるショート・ホラー集
そして、彼はおもむろに立ち上がると、
こうつぶやいた。

「ぼくはね、復讐のために生まれ変わったんじゃないか、って考えてるんだよね」

先ほどの笑顔は、すっかり消え失せていた。

まるで別人であった。
リクは冷たい眼差しで、氷水の入ったクーラーボックスを見つめていた。釣った魚を入れるために、俺が持ってきたものだ。

「海から上げられたとき『そいつ』の向こうに、遠くの方にさ、大きなお家が見えたんだ。そのときの光景が、とっても印象深くってさ。だから、死んでも忘れられないんだろうね」

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