幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~

蒼斗side-

黄昏の湾岸線を走っていた。
夕日に照らされ、波間も海上を行きかう船もキラキラと黄金色に輝く。

桜は大人しく俺の帰りを待って、日々をやり過ごす。

『王龍』の力を恐れながらも、剣吾さんを止めるのは自分の役目だと思っていた。

俺のプライベートスマホに非通知の電話が掛かって来た。

運転している俺は耳にかけていたハンズフリーで通話に出た。

「もしもし・・・夏目ですけど・・・」

―――――お久しぶりです。ブルー

「剣吾さん?」

―――――ご無沙汰しております。
お元気ですか?

「・・・『王龍』の最高幹部である貴方が何の用ですか?」

――――貴方の小耳に挟んでおこうかと思いまして


「・・・俺は運転中です。手短にお願いします」

――――早く帰宅しないと奥様、流産するかもしれませんよ

剣吾さんの狂気じみた笑いで通話が切れた。


「くそっ!!」

俺はアクセルを踏みしめて、家路を急いだ。




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