幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
「ブルーさん…助けて…下さい・・・」

私は王子様に助けを求めた。

――――助けを求める相手が違うでしょ?桜さん
貴方が求めるべきは蒼斗さんでしょ?

王子様の声が氷のようにひんやりと鼓膜に響いた。

――――貴方に経口の中絶薬を飲ませたのは私ですけどね・・・

「えっ?」

――――日本ではまだ非承認の中絶薬です。こんなに早く効くとは驚きです。

「どうして?」

王子様の行動に疑問しか浮かばない。

――――私が賀集の弟の賀集剣吾ですよ。
貴方に近づいたのは最初から蒼斗への復讐の為です。
そんなコトも露知らず、私にココロを開いて、ベラベラ話す馬鹿な女です。全く

私の言葉が出なかった。

――――私は忙しいので、切りますね。


彼は瀕死の私を見捨て、通話を切った。

「あ・・・」

私は騙された・・・
彼が賀集さんの弟・・・だから彼は『BP』に詳しかったんだ。

私は彼の復讐の道具に使われた。

王子様だと思っていたブルーさんは死神だった。




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