幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
彼はキチンと避妊する人だったから渡瀬さんの子供である可能性の方が高かった。でも、この子のお腹の子は彼の子であって欲しかった。
王子様に似た彼の子だから。

悪阻で気分が悪く、口の奉仕は辛い時もあった。
本番を求められ、この子を庇い、抵抗したら殴られてしまったコトもあったけど。
でも、私はこの子の為に耐えた。

私はこの子の為に、彼に会う決心した。

彼の教えてくれた携番のスマホに電話を掛けた。

ワンコール、ツーコール・・・

携番は変わっていなかった。

待って居れば、彼と繋がる。
無理でも留守番サービスにメッセージを入れて・・・

電話が繋がった。
そこで安堵してしまい、声が出なくなった。
数秒の沈黙の後、口火を切ったのは彼だった。

ーーーーもしもし、桜か?


「・・・次郎さん・・・」

――――何?

別れた時と同じ素っ気ない声音。

「いえ・・・あの・・・」

――――俺に会いたいんだろ?
俺も君に会いたいと思っていた。

「次郎さん?」

――――場所は・・・

彼の方から会う場所と時間を指定して来た。

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