幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
同情心から始まった彼女との同棲。

あのまま、桜にバレなければ今も続いていたかもしれない。
それだけ、俺は知らず知らずに彼女の存在を必要としていた。
彼女は無戸籍でありながらも、歌舞伎町と言う危険な街で逞しく前向きに生きて来た。

俺が付き合ってきた女では異色の存在。
他の女には芯の強さに惹かれていたんだと思う。


でも、俺の仕事はある意味危険が常に伴う。

特に「王龍」相手となるとその危険度は上がる。
彼らはマフィア。

現に俺の教育係だった賀集先輩は妻子を人質に奪われ、『BP』を裏切り、情報を横流しする羽目になった。
その事実を突き止められた賀集先輩は『王龍』の情報も俺達に流し、二重スパイとなり、
最後は「王龍」の幹部達に殺されそうになった俺を庇い、彼らの銃弾に命を失った。



特定の恋人は作らなかったのはそう言った理由。

ましてや、家族なんて・・・

だから、偽装結婚と言う形ををとった。

爺ちゃんも桜を見れば、見合い話もしなくなる。
父さんや母さんに孫の顔を見せれば、俺の役目も終わる。

桜には冷たい旦那を演じて、彼女の方から離婚を申し出れば、それでおしまい。

後は産まれた子供の養育費を毎月送金し、金で父親を役目を担う。






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