幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
「俺に気遣いは無用だ」

「でも・・・」

「・・・君はお腹の子のコトだけを考えればいいのに。桜は人に気を遣い過ぎだ。俺は君と渡瀬さんの子を利用してるだけだ。
そんな俺に気遣う桜は馬鹿だ」

昨日とは打って変わって、冷たい言葉を投げる蒼斗さん。

「俺と君は一度は別れた。
よりを戻したと勘違いされたら、離婚する時に困る。
俺はあくまで、君の素性に同情し、借りを返しただけ。
だから、俺をスキになるとかなしだよ。桜」

「蒼斗さん・・・」

「俺は朝、スナックパンとコーヒーで簡単に済ませる。
無駄な買い物をしたね。桜」

「ゴメンなさい。何も知らなくて・・・」

「帰るぞ、桜」

蒼斗さんは先に歩き出した。
私は唇を引き結び、彼の背中を追った。
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