恋のルーレット
世良エイジはアメリカ人の父と日本人の母から生まれたハーフで、目の色は真っ黒だけど鼻筋が通ってすっきりしてるところとか、彫りが深い顔立ちは父親似だ。
ただ英語はしゃべれない。前に英語でしゃべれるの?と聞いたら「ハーフがみんな話せると思うなよ」とめんどくさそうに返された。

多分、十七年間同じ事を何度も聞かれてきたらしかった。



国際結婚した両親は、エイジが幼い頃に両親は離婚して、母親がひとりで育てた。忙しい母親から構って貰えなくなってから愛に飢えてたと彼は言った。




そんな幼少期を過ごした事もあってか、高校生になってからも彼の愛への渇望は続いて、入学当初から女の子を一週間でとっかえひっかえしていた。


「なんか違う」


これが決まった別れの言葉で、



「付き合って」


と、また別の女の子に軽々しくも言う。
感情がまるでない告白だと女子の間では有名。
しかも告白する相手はランダムで、決まりはない。
一組の子から急に五組の子に告白したり、ショートカットの子と付き合ったと思えば次はロングの子だったりする。

多分、告白の相手をルーレットで決めているんじゃないかと私は思った。

彼の中で回転し続けられた球が偶然落ちた相手へ告白する。
そのルーティーン。
私はそんな彼を冷ややかな目で見ていた。
ただのチャラ男じゃん。暇つぶしにされて終わりじゃん。
どこがいいわけ?と。
それでも告白された女子から断られないのは彼の端正な顔立ちと、他の男子にはないミステリアスな雰囲気のせいだろう。

暫くして、彼の告白のルーティーンが私にも回ってきた。
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