冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました
「意外とメンタル弱いやつなんだなって思って少し気にかけていた。それに確認不足だった俺にも非がある。だからお前が一方的に専務から咎められる前に俺が一筆書き加えたんだよ。それが上司としての役目だろ?」

安西部長は眺めていた海から視線を私へと移し、静かに笑った。

「まぁ、ほかの社員たちから色々言われて凹んでも、俺が支えになっていればきっと大丈夫だって信じてたし、そしてやっぱりお前は俺の期待を裏切らなかった。あ、俺の中でお前のあだ名があったんだ。知りたいか?」

「あだ名?」

知りたい。とコクンと頷いて見せると安西部長がニッと口の端を押し上げた。

「雑草だ」

……へ? ざ、っそう? あの道端に生えてるような草のことだよね?

目を丸くしてきょとんとしていると、彼は堪えきれなくなった笑いを噴き出した。

「そうそう、踏まれてもしなびても太陽と水さえあればまた起き上がって生き生きと伸びる……な? だから雑草みたいだろ?」

「ちょ、もう! ひどいですよ、勝手にそんなあだ名つけるなんて!」

私の反応を見てクスクスと笑いながら肩を揺らしている安西部長を軽く小突く。気がつくと私の目には涙で溢れそうになっていて、瞬きをしたらポロリと雫がこぼれた。

「お前はよく泣くな」

「安西部長が悪いんですよ」

「……そうだな」
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