復讐寮~罰ゲーム~
寮母さんはいつものように白いエプロンをつけて、冴えないオバサンでしかなかった。


しかし、寮母の姿を見た瞬間先輩たちは直立した。


「あらあら。派手にやってるわね」


柔らかな物言いで部屋の中の惨状を見つめ、そしてほほ笑んだ。


「あなたたちにはご褒美よ」


寮母さんはそう言うと、持っていたクッキーを取り出してテーブルに置いた。


3年生はクッキーに一斉にとびかかり、奪い合うようにして口に入れている。


「なんだよこれ……」


異様な光景に真仁が後ずさりをする。


「クッキーの中に薬を入れているのよ。ほら、みんなこんなに美味しそうに食べてる」


目の色を変えてクッキーを口に運ぶ先輩たちは、まるで家畜みたいだ。


口の端からボロボロとクッキーの欠片をこぼしているのに、気が付いていない。


「あなたたちにはこっちね」


そう言って寮母が見せて来たのは、注射器だ。


一瞬にして血の気が引いていく。


逃げないといけないのに、恐怖で体がすくんで思うように動けない。

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