泣いた、緋鬼
母の顔が一瞬で青くなる。

「何……、言ってるの……?」








「そのままだよ。私は希くんが好き。この気持ちは変わらない。だったら、私は希くんに







――――命をかけてでも好きで居たい」









「――――黙って!」









母が動揺してガタッ!と音をたてて椅子から立ち上がる。







「許さない、そんなこと。駄目よ、絶対。未菜は、未菜は―――――」








怒りなのか、それとも畏れなのか、母は体を震わせてブツブツと呟く。





「未菜、あなたは――――」






「何?公康君とでも結婚させる?」








「―――!」







図星をさされたのか母が押し黙る。








――やっぱりか。







おかしいと思ってたんだ。恋愛禁止って言う割りに男子を近づけるなんて。
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