敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】
「それは心配いらないですよ。あなたの演奏は私が保証します。それに、最近はジャズピアノにも挑戦しているのも強みです。
もちろん、クラッシックの曲も選曲できますし」

「そうですか。ただ、会社の規則で副業は禁止されているんです。だから、引き受けたとしてもお金はいただけません」

「なるほど。
あくまで、神崎さんが弾きたいと思ってくれてることが前提ですが、お金を受け取らない代わりに選曲を自由にさせてもらうとか、少しだけわがままな条件を入れたらどうです?
お店はピアノ演奏をしてもらえるし、神崎さんは発表の場が得られるし」

「少し考えさせてもらってもいいですか?」

「もちろんです」


「あっ、華ちゃん来てたのね!!」

「佐織さん!」

「佐織、今神崎さんにバーの演奏の話をしたよ」

「そうなの。華ちゃん、どう?やってみない?」

「興味はあるのですが、自信がないというか……」

「そっかぁ。じゃあ、次の金曜日にでも一度見に行ってみましょうよ。その方が華ちゃんもイメージしやすいでしょ?」

「それはいい。
神崎さん、どうですか?」

「はい。ぜひ連れて行ってください」



こうしてその週の金曜日に、先生夫婦に連れられてバーを訪れた。


ーBar やどり木ー

そのお店は会社から近くにあり、雰囲気がとても良かった。

ピアノは店の奥に置かれていて、どの席からも視界に入った。


この夜の演奏はボサノバから始まった。それからクラッシックとジャズが数曲。

多くの人がピアノに耳を傾けていて、決してBGMになりきるのではなく、きっちりとステージとして成り立っていた。

< 23 / 126 >

この作品をシェア

pagetop