敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】
こうして、社長室を訪れた神崎さんは、あれほど優れた資料を作るのにも関わらず、どこか自信なさげな感じがした。
まあ、緊張してしまっていたのもあるだろう。

退室する際、よろけてしまった彼女をとっさに抱きとめると、ほのかに心地良い香水の香りがした。
それがなんとなく気になりつつ、怪我をせずにすんだとホッとしていると、彼女は真っ赤になって謝罪を述べ、急いで出て行った。

退室する後ろ姿に、何かもどかしいような気がした。
自信を持たせてやりたいと思った。




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