real face
『蘭です、こんばんは。先程は送っていただいてありがとうございました。今週末は会えなくて残念ですが、月曜日にまた会社で会えるので嬉しいです。また今度、一緒に過ごせたらいいな。』

あ!肝心な用件を入れ忘れた!!
なにやってんのよもぅ……。

『追伸です・帰宅したら、シュウにぃが来ていました。でも家族がいたので2人きりにはなっていません』

再度、送信!
ふぅ……お風呂に入ろう……。



「ぎゃっ!!」

お風呂から上がってきたら、なぜか私の部屋にシュウにぃが居た。

「ちょっと!勝手に人の部屋に入らないでよ!!」

「なんだよケチ。あ、さっき携帯鳴ってたぞ」

もしかして、佐伯主任からのメール?
あれ、メールじゃなくて着信履歴が……え?
不在着信になっていないけど……ということは……?

「シュウにぃ、まさかとは思うけど、出た?」

「ああ、画面に翔の名前が出てたから、代わりに出てやったけど」

ちょっと!!なにやってんの?信じられない!!

「なに勝手に私の携帯に出てるの!」

もう!
思考回路だけじゃないよね、どうかしてるの!!

「ちゃんとまひろは風呂に入ってるって言っといたけど?」

ふざけないで!!バッカじゃないの!?

「週末なのにデートの予定は?本当に付き合ってるのかよ、お前ら」

「今週末はお互い予定が入ってたの。私の先約とか、主任の法事とか」

「法事?ああそうか、翔の親父さんの。もう3回忌になるのか……」

え、お父さん?
嘘!?だって、この前言ってたじゃない、お父さんの名前『真』なんだって。

「お父さん、亡くなってたの?」

「ああ、本当の親父さんの方がな。一緒に暮らしている親父さんじゃなくて」

……本当の、お父さんって。
複雑な家庭環境なのかな。

「修一……あら、まひろちゃんの部屋に入り込んで!ごめんね、追い出してあげるから安心して。さ、帰るわよ修一」

「分かったよ。じゃあなまひろ。今日は久し振りに会えて良かった。またな!おやすみ」

「おやすみ、まひろちゃん」

「2人とも、おやすみなさい……」


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