real face
「私、シャイニングの経理部に勤務してるんです。宮本課長は私の直属の上司でした。課長の異動で部署が変わってから、お付き合いするようになりました」

「え、それじゃまだ付き合い始めて日が浅いってことか。……なるほど」

なつみんのことをまるで値踏みするかのように、繁々と見ているシュウにぃ。
遠慮がないその視線に、嫌な雰囲気が漂ってくる。

「有田さんとまひろって、雰囲気が似ているよな」

「そうかな………」

中学生の頃は、そんなことをよく言われていたような気がするけど。
なつみんは今でもあの頃のように"のほほん癒し系"
だけど私は、もうあの頃とは違うのに。

「ところで、まひろと翔はいつからなんだ」

え、私たちのこと?

「いつからって、えっと、先月からかな」

「なんだって!ってことはまだ1ヶ月……。兄貴たちより短い、ていうか最近の話じゃないか!」

そうだけど、それがどうかした?
シュウにぃは頭を抱えるようにして黙り込んだ。

「まったく、どいつもこいつも。好き勝手やりやがって……」

そう言えば、ふと気になった事を聞いてみた。

「ねぇ、シュウにぃは?今、彼女とか。あ、もしかして霧島さんがシュウにぃの彼女さんだったりして?」

さっきから黙って話を聞いていた霧島さんが、驚いたように私を見た。

「わ、私ですか…?私は単なる助手ですよ。ねぇ、宮本さん」

「ああ。美生は仕事上のパートナーだからな。今日もさっきまで仕事だったんだ。あっちの事務所でも一緒だったんだよ」

そうなんだ。
でもシュウにぃは確か特定の彼女を作ったりしないとか言ってたし、霧島さんとも実は大人な関係だったりして。

「有田さん、兄貴はいま出張でしたよね。週末なのにデートもできなくて仕方なくコイツと遊んでやってるんですね」

コイツ、とは間違いなく私のことだろう。
指さしまでしなくても!
どこまでも無神経で失礼なんだから!!

「まひろんが優しいから、佐伯主任よりも私との約束を優先してくれたんです。一弥さんも急な出張だったから、私のこと気にしてくれてました。でも今日はこうして修一さんにもお会いする事ができたので、本当に良かったと思います」
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