real face
「じゃ、お母さん行ってきます。あかり、お母さんのこと頼んだからね!」
もう来てるかな、主任。
5分前……張り切りすぎてなくて、ちょうどいい。
どうにも今日の私は可愛げがない。
"秘境渓谷"は、林の中に川が流れていて正に"秘境"と言える神秘的な場所。
夏の暑い日差しをある程度遮ってくれるから避暑にはもってこいだ。
川の流れは冷たいし、滝壺もある。
そしてちょっと離れているけど、渓谷にかけられている吊り橋が見える。
吊り橋を渡った先には見晴らしのいい展望台や、休憩小屋。
あの吊り橋には苦い思い出が……。
できればあそこには近付きたくはない。
吊り橋を見上げながら、ため息を吐いた。
「うわっ!なにあの吊り橋!!めっちゃスリル満点だね。蘭さん、後で行ってみない?」
「結構です。他の人を誘うか、いなければお一人でどうぞ」
どうしてまた、この人がいるんだろう……。
霧島さんが言っていた、シャイニングの友達って、この人だったなんてね。
「おいこら、迫田!蘭さんに何を言うつもりだ?お前もこっち手伝え。ほら来いって!」
「ちぇ、先輩顔が怖いっすよ。しょうがないから宮本課長を誘おうかな……」
今日の参加者は、蘭事務所から10人、シャイニングから5人。
シュウにぃが幹事ってことは、いろいろと準備するの大変だったんだろうな。
「まひろん、食べてるー?最近シャ食でも会わないね。今日は久し振りにお喋りできるって楽しみだったんだー」
「うん……。なつみんに聞きたいことがあるんだけど。私がなつみんにあげたクマのマスコット、まだ持ってる?」
「え、どうしてそれ……。実はバッグにつけてたんだけど、なくなっちゃって。ごめん、まひろん」
「そうなんだ。で、いつどこで無くしたの?」
「そ、それは……。分からないの、ごめんね」
…………謝らないといけないのは私の方だよ。
私が持ってるの。
佐伯主任の車の助手席で、拾ったの。
なんて、言えない。
主任はシュウにぃや迫田さんたちと、楽しんでいるみたい。
イチにぃは蘭事務所の人たちと談笑している。
私だけが、この楽しい場所にふさわしくないのかも。
もう来てるかな、主任。
5分前……張り切りすぎてなくて、ちょうどいい。
どうにも今日の私は可愛げがない。
"秘境渓谷"は、林の中に川が流れていて正に"秘境"と言える神秘的な場所。
夏の暑い日差しをある程度遮ってくれるから避暑にはもってこいだ。
川の流れは冷たいし、滝壺もある。
そしてちょっと離れているけど、渓谷にかけられている吊り橋が見える。
吊り橋を渡った先には見晴らしのいい展望台や、休憩小屋。
あの吊り橋には苦い思い出が……。
できればあそこには近付きたくはない。
吊り橋を見上げながら、ため息を吐いた。
「うわっ!なにあの吊り橋!!めっちゃスリル満点だね。蘭さん、後で行ってみない?」
「結構です。他の人を誘うか、いなければお一人でどうぞ」
どうしてまた、この人がいるんだろう……。
霧島さんが言っていた、シャイニングの友達って、この人だったなんてね。
「おいこら、迫田!蘭さんに何を言うつもりだ?お前もこっち手伝え。ほら来いって!」
「ちぇ、先輩顔が怖いっすよ。しょうがないから宮本課長を誘おうかな……」
今日の参加者は、蘭事務所から10人、シャイニングから5人。
シュウにぃが幹事ってことは、いろいろと準備するの大変だったんだろうな。
「まひろん、食べてるー?最近シャ食でも会わないね。今日は久し振りにお喋りできるって楽しみだったんだー」
「うん……。なつみんに聞きたいことがあるんだけど。私がなつみんにあげたクマのマスコット、まだ持ってる?」
「え、どうしてそれ……。実はバッグにつけてたんだけど、なくなっちゃって。ごめん、まひろん」
「そうなんだ。で、いつどこで無くしたの?」
「そ、それは……。分からないの、ごめんね」
…………謝らないといけないのは私の方だよ。
私が持ってるの。
佐伯主任の車の助手席で、拾ったの。
なんて、言えない。
主任はシュウにぃや迫田さんたちと、楽しんでいるみたい。
イチにぃは蘭事務所の人たちと談笑している。
私だけが、この楽しい場所にふさわしくないのかも。