real face
「あ、集計は終わってますがプリントアウトがまだです。午後からでもいいですか?」

「会議は明日の午後だから大丈夫だよ。よろしくね」

今やってる修正が最優先だから、一応忘れないようにメモメモ。


「蘭先輩、ちょっといいですか」

今度は隣の2課の後輩、春日くんだ。

「なに?春日くん」

時間が惜しいので手を止めず、画面を見つめたまま答える。

「すみません、先週お願いしておいたパンフレットのレイアウトなんですが。急遽今日の午後から打ち合わせしたいと先方から連絡がありまして」

「じゃあコレ、とりあえず3パターン作ってあるから。データはあとで送るね」

「え!もう出来てるんですか?さすがですね先輩。いつも助かります!!」

さて、もう誰も来ないかな。
集中集中……。


「蘭さん、ちょっといいか」

もう!今度は誰よ?集中できないじゃないの。
不機嫌を隠す余裕もなく顔を上げると、そこには私以上に不機嫌な顔の鬼が。

「さ、佐伯主任……。修正ならもう少しで」

「あのさ、蘭さんって俺とコンビ組んだ自覚あるの?」

「勿論ありますけど?」

「なんで他の人たちから仕事頼まれてる」

なんでって言われましても。
突然どうしたんだろう主任。

「1課だけじゃなくて、2課の仕事まで。意味が解らない」

「別にこんなの日常茶飯事ですよ。ちゃんと優先順位つけてやってますから」

自分のキャパシティくらいは把握してるつもり。

「いや、そういうことじゃなくてさ……」

「主任、できました。確認お願いします」

主任が確認している間に、さっき来た春日くんのPCにレイアウトのデータを送る。

「蘭さん、これでOKだけど……ちょっと来て」

そう言って、スタスタとミーティングルームの方へ向かっていく佐伯主任。
まさか、お説教とかだったりして。


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