real face

彼女のキャパシティ  ※佐伯翔真視点

「なあ、いつもこんな感じなのか?」

ミーティングルームで蘭さんに問いただす。
なんでいろんな奴から仕事頼まれてるんだ?
ま、俺からの依頼を完璧にこなしているから、その事については文句言うつもりはないが。

「佐伯主任は、私のこと眼中になかったでしょうから、引き継ぎの時も気付かなかったんでしょうけど。大体こんな感じです。なにか問題ありますか?」

あるに決まってるだろ!
俺からの依頼の他に、いろいろと仕事抱えているなんて。

「俺とコンビ組んだからには、他の奴からの仕事を簡単に引き受けるな。お前は自分の仕事に専念しろ」

「そんなこと言われても、今までやってきた事を突然断るなんてこと、できません」

「他にも人はいるだろ?なんでみんなお前にばかり頼んでくるんだ」

「そんなこと私に聞かれても知りません。あ、私これから経理部に行かないといけないので。失礼します」

おい、まだ話終わってねえぞ!?


なんなんだ、あの態度。
俺、一応上司なんだけど?
ミーティングルームから自分のデスクに戻ると、さっきまで席を外していた宮本課長が帰ってきた。

「課長、ちょっとお話が」

「ああ、ちょっと待ってくれ。これから何件か電話連絡しないといけないんだ。それにしても珍しいな。佐伯が午前中オフィスに籠っているなんて」

「思いの外、捗りました。午後から出ようと思ってます。蘭さんを同行させていいですか?」

「コンビなんだから当然だろ。ていうか、話ってそれだけか?」

「いいえ、これからの教事1課いや、ラーセク全体の在り方についての議論を」

「あー分かった分かった。それなら昼飯でも食べながらにしよう。電話が済んだらすぐ行くから、シャ食で席の確保を頼む。じゃ、そういうことで」

課長が俺の返事も聞かずに電話を掛け始めると、時計が正午を告げていた。
シャ食か……。
課長命令なんだろうから仕方ない。


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