real face
「私ね、高卒で入社出来たのはコネがあったんじゃないかとか、いろいろ噂立てられたりしてたの。勘繰られたり、イチにぃに迷惑かけたりするのが嫌で、知られないように隠してたんだ。疑心暗鬼になりすぎてたのかも。関係が知られたら何かと面倒だから、今でも隠したまま。なつみんにも言うタイミングを逃してた。ごめんね」

「……なぁんだ、良かった!」

ホッとしたような、なつみんの笑顔が眩しい。

「なんか2人とも深刻な顔してるから、ドキドキしちゃった!いとこ同士かぁ。どおりで親しげな雰囲気だったのね。でも、私に教えて良かったの?」

「イチにぃ、もっと大事なことを言うつもりなんでしょ?誤解はとけたようだし。言うなら今でしょ!!」

イチにぃが、コホンと咳払いをした。

「有田さん、俺のことただの"上司"としてだけじゃなくて、ひとりの"男"として、見てくれないか?」

「え、それって……」

「経理部で一緒に仕事してみて、すごく気になる存在になってた。周りの人を気遣ったり、助けたりできる優しさが素敵だなって。それになにより、その明るくて可愛い笑顔に惚れたんだ。俺は……有田さんが好きだよ」

おおっ!!
イチにぃ堂々と愛の告白!?

そして、なつみんは………?
真っ赤!耳まで赤くなって!!
可愛いなあ、なつみん。

「あ、あ、あ、あの、私」

「有田さん、君が俺のことをどう思っているか、知りたいんだ。有田さんが思う"宮本一弥という男"について、聞かせてくれないか?」

なつみん、緊張してるよね。
私までなんだか緊張してきたみたい……。
頑張れ!!
ありのままの、なつみんの気持ちを伝えれば大丈夫だよ。
頑張れ、なつみん。

「…………………私も、同じです」

真っ赤になって俯いていた顔を上げて、イチにぃをしっかり見て話すなつみん。

「誰かが困ってると然り気無く助けてくれて、仕事では厳しくもあるけど、優しさも兼ね備えてて、憧れてました。だけど、みんなに優しいから人気があって。課長のファンが多いってこと、知ってますか?」

「知らなかった。イチにぃって実はモテるんだ!?」

「ちょっと、まひろは黙っててくれないか?」

なによ、誤解をとくために協力してあげたのに!

「隠れファンが多いんだと思います。だからライバルも多いし、部署も離れたし、叶わぬ片思いかなって思ってました。課長の笑顔や優しさが、私だけに向けられていたらいいのにって……。私も好きです!宮本課長が……宮本一弥さんが、大好きです!!」

きゃー!
なつみんスゴイ!
これこそ、一世一代の告白じゃないの!!

真っ赤になって見つめあう、イチにぃとなつみん。私の存在って、一体……。

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