real face
第4話

新(あらた)と信(まこと)  ※佐伯翔真視点

──日曜日。

「翔真!おい、翔真いるのか?」

「なんだよ父さん。今日はずっと家にいるじゃねぇか。どうしたんだ?」

休みだし、特に予定もないから部屋で映画鑑賞してたけど。

「おお、居たのか!いつも、いつの間にか居なくなってるからな」

いつも声かけてから出ていくのに、聞いていないのは誰だよ。

「だからなに?」

「今日はうちの生徒が来るから、俺はいまから晩御飯の支度する。お前暇だったら、アイツらを迎えに行ってやってくれないか」

「父さんのクラスの生徒か?」

俺の父は、高校教師。
公立の商業高校で理科を教えている。

「ああ、俺のクラスで、クラブの部員でもあるけど」

「あの怪しげなクラブに入る奴が居たのか!可哀想に」

"実験体験クラブ"なんて、いかにも部員が集まらなさそうな部活の顧問もやっているらしい。

「可哀想とか言うな。貴重な新入部員だから歓迎会してやろうと思ってな。駅前東口のバス停に15:00だから、頼んだぞ」

「おい、まだ返事してねえよ。それに今いいところだったんだ」

「ついでにビールも買ってきてくれ。アイツらの飲み物もな。ほら早く、行った行った!」

「ったく!!人使い荒いな、もう。分かったよ行くよ。で、アイツらって、何人?名前は?」

「2人だ。"あらた"と"まこと"」

「まこと……父さんと同じだな」

「そうだな。でも漢字が違うぞ。俺は"真"だけど、アイツは"信"。もう1人は"新"。ちなみにどっちがどっちかは、俺にもよくわからん!わははは」

何言ってんだ。
相手するのも疲れるから、とりあえず行くか。

──15:00。

「こんにちは!吉田先生の息子さんですか?俺たち……」

「ああ、聞いてる。新と信だろ?さ、早く乗れよ。ちょっと買い物に付き合え」

「はい、よろしくお願いします!」

なるほど、意味が分かった。
どっちがどっちなのか?
コイツら……双子だな。
なかなか興味深い。


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