【B】箱庭の金糸雀 ~拗らせ御曹司の甘いぬくもり~

21.死ぬまで傍にいて - 如月 -



結婚式の当日の朝、
式開始の4時間前からホテルに入らないと忙しいアタシは、
前日の夜から殆ど眠れぬまま、
慌ただしく出掛ける羽目になった。


最初に向かった真梛斗のお墓。
そこで光輝と一緒に、正式に結婚の報告をした。


そして『アタシ、絶対に幸せになるから。ちゃんと向こうで見守っててよ』って、
真梛斗に話しかけた。


真っ青な秋晴れに通り抜ける風が、
今は凄く優しい。

真梛斗が祝福してくれてるのかなーなんて、
がらにもないことを感じた。


霊園からホテルへと移動したアタシたちを待ち構えていたのは、
ホテルに入った瞬間から次々とお祝いの言葉をかけられる。

そんな瞬間、あぁ、このホテルを経営してるのが光輝の一族なんだなーって、
一般のアタシとのスケールの差を感じずにはいられない。


ちょっと初っ端から挫けそうになるアタシの心の奮い立だして、
光輝の隣でニコニコと笑みを浮かベながらプランナーの高村さんが待つ部屋へと辿り着いた。


高村さんと共に、
チャペルの祭壇の前で挙式リハーサル。


アタシの特注のドレスが美しく見える高さと言うことで、
祭壇には三段ほどのプチ階段が設置されていた。


一連の流れをリハーサルした後は、
着替えとヘアメイクが始まる。


そんな途中に三橋とババアが姿を見せた。


涙ぐむ三橋に、特注のドレスを身に纏って、
ヘアメイクを受けるアタシに満足そうな笑みを浮かべた。


光輝のご両親が手配してくれた、
Kiryuさんのドレスは本当に凄くて勿体ないようなドレスに完成した。


そして今、この部屋にはぜいたくなことに
Kiryuさん本人が居てアタシの支度を手伝ってくれていることに驚いた。



準備が出来た頃には控室にノック音が響いて、
美織と澪が姿を見せてくれる。

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