ディモルフォセカの涙
ねむりを妨げる♦彼方
「……なぜ?」----そう俺に問いかけた後、彼女はそのまま眠りについた。
その後、酒に酔った彼女とひと悶着あった末に、俺はしかたなく彼女をここへ連れて帰って来てしまったわけで……
彼女は今、俺のベッドを占領してスヤスヤと眠っている。
この部屋の主である俺はというと、ハーフケットの毛布を掛けてソファーで眠る始末。
横向きになり折り曲げた足、体勢も悪く、なんとも寝苦しい……
----こうして、長い夜は終わり、鳥の囀る声と共に朝は来る。
俺の眠りを妨げるその声よ、どうか消えてくれ。
「えっ!うそうそっ、ここどこ?
えっ?知らないんだけど
えっ、うそっ、何これ」
「いい加減にしろ!
朝から大きな声出すなよ」
「うわっ!ごめんなさい
私ってば、まさかカナタさんの部屋に!
ベッドまで、うわー、どうしよう私」
「うるさい!
うるさいよ、おまえ
少しは落ち着いて、静かにしろよ」
「ごめんなさい」
怒って目が覚めてしまった俺は体を起こす。すると、左腰辺りに鈍い痛みを感じた。
ソファーに腰かけ痛めた腰を擦りながら、昨夜のことを話す。