ディモルフォセカの涙

それはたぶん罪♦彼方

 俺を見つめる、その目は語る。


『ユウさんも、絶対、あなたが好き……』


 「カナタ、好き」


 知ってるさ

 いつだってユウは、俺を好きでいてくれた。



 欲しいものは手に入れたい----

 ユウを誰にも渡したくない!


 愛してる


「わたし、好きなの……」


 愛を告げるユウをこの腕にきつく抱きしめ、そのままベッドに沈める。

 ベッドに横向きに倒れたため、はみ出したままの二人の足……

 組み敷く俺の背に回したユウの腕が今度は俺をきつく抱きしめる。

 きつくきつく、これ以上は近づけないという程にきつく抱きしめ合う。


 限界が来る----

 
 愛したい

 ユウを俺だけのものにしたい


 肘を立て、目を閉じるユウにくちづけようとしたその時、ついさっき無造作に置いたギターの存在に気づく。


 
 ----

 
 十歳になるひと月前、俺はやっと里親である絹子さん夫婦と手順を踏んで養子縁組がなされた。

 そして初めて絹子さんの実家に訪れた。見るからに代々受け継がれてきたであろう時代を感じさせる温かな家の風貌。


 僕を見つめる、温かな目----


『家族になろうよ』
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