ディモルフォセカの涙

水色チョコ缶

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『私達、一緒に暮らさない』----実花さんと過ごす日々はとても楽しくて、いつも時間はあっという間に過ぎてしまう。
 
 一日一日がとても早く感じられ、いつの間にか私も、もっと実花さんと一緒に居たいと望むようになり、一緒に暮らせる日が来ることを心から楽しみにしていた。

 ところが、社長である戎家さんに相談したところ、その答えは否定的なものだった。

 ここは、社長室----外した眼鏡を書類の上に置いた社長は、椅子を引いて立ち上がると中央に在るソファーへと移動する。「あなたも座って」そう言われて、私は社長と向かい合って座る。


「ユウ、悪いけど私は反対ね」

「どうしてですか?」


 反対されるとは、全く思いもしなかった私は驚く。----社長は、一緒に暮らす相手が友達であっても、私の芸能活動に支障が出る場合があると言う。


「特に、人気絶頂の今は周りがあなた
 のことを放っておいてはくれない」


 どんなに微々たること(内容)でも、すぐにネットニュースに流れ、当人の関係ないところでああだこうだと話は成されてゆく。

 それが例え間違った方向であっても、知らなかった、そういう意味ではなかった等と御託を並べ、最終的には、違約金さえ支払えばその場は何とか納めることができる。その後の結末などどうでもよい、誰もその先を気にも留めない。汚した相手の名誉回復などこの際どうでもいい。
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