婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~
「じゃあ、社長のプライベートな時に会ったことがあるっていうことだよね? どう? どんな感じ」
芳賀さんは興味津々の様子で私を見つめる。
ランチと一緒に頼んだ三人分のアイスティーがテーブルに運ばれてきた。
「そう、ですね……私も、そこまでよく知っているわけではなくて、あまりわからないんですけど、特に変わらないかと……」
まさか婚約者で、すでに同じ住まいで暮らしているとは言えない私は、曖昧な返事で誤魔化しを図る。
洋司さんと知り合いだと前置きしているから、よくわからないで通用するとは思うけど……。
「そっかー、社長っていっつもあんな感じなんだ。みんなに教えてあげよ」
「好きですねー、みんな社長の話」
芳賀さんの弾んだ声に照井さんがツッコミを入れるのを眺めていると、その視線に気付いた照井さんが私に向かって口を開いた。