婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~


 自分の中に誰かの一部が入っているという、衝撃的で強烈な未知なる体験。

 身体が裂けてしまうと慄いたのは初めの少しだけで、次第に痛みは甘い疼きに変換されていった。


『後悔はさせない……だから、全部預けていいよ』


 彼の優しく包み込むような声が、私を未知なる世界へと踏み込む決心をさせた。

 たとえそれが、一夜限りの、過ち……だったとしても――。

 唇から蕩けてしまいような甘いキスが落ちてくる。

 こめかみから指を差し込まれて口付けが深まると、下からの揺さぶりが再開された。


「っ……ふっ、んぁっ――」


 自分のものとは思えない甘ったるい吐息が次々と溢れ出し、止まることを知らない。


「もっとその可愛い声……聞かせて」

「っ、やっ……」


 そんな風に言われて、恥ずかしくて首をふるふると小さく横に振ると、彼はふっと笑って汗が滲む額にキスを落とした。

 知らなかった悦びに全身は震え、互いに汗ばんだ身体を抱き締め合う。

 夜が更け、空が白んでくるまで、それは何度となく繰り返された。


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