婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~
日菜子とは、高校時代からの長い付き合い。
もうすぐ知り合って十年が経とうとしている。
昔から社交的で友人も多く、それこそ彼氏も途切れたことのないタイプだった日菜子。
それに比べ私は控え目で消極的な、日菜子とは真逆のタイプ。
高校時代から異性と話すことは苦手で、それは未だに克服できていない。
「それは昔のことでしょ~? 里桜、今はあの頃の面影ないくらい変わったじゃん」
「それは、外見だけだよ……」
そんな冴えない自分から卒業したくて、短大生になってから自分磨きに専念した。
それはまさに〝大学デビュー〟という感じで、確かに外見は垢抜けたと思う。
だけど、それは見た目だけのこと。
自信を持てるようにいくら外見を磨いても、消極的な中身はそう簡単には変えられなかった。
「それなら、むしろいいチャンスだと思うけど? 彼氏もいないんだし、いい出会いがあるかもしれないよ?」
「いい出会いって……だから、そういうのが苦手なんだってば」
初対面の男の人と話すなんて、私には難易度が高すぎる。
そういう場所に行くこと自体だって緊張しちゃうのに……。
渋っている私の様子に、前を歩いていた日菜子が急に足を止めて振り返る。
そして横に並ぶと、私の腕をがっと掴んだ。
「里桜が得意じゃないの知ってて頼んだのは百も承知だけど、今日だけはお願い! ただいるだけでいいから!」
真剣な目で懇願され、気持ちが固まらないまま「わかったよ」と返事をしていた。