婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~


 ぎくっ……。

 変に濁したのが不自然だったのか、日菜子は更に追及するような質問を繰り出す。

 馬鹿正直に〝実は他にもいろいろあって〟みたいな反応を見せてしまった私を、日菜子はじっと正面から見つめた。


「何か隠してるな? 里桜はわかりやすいからバレバレ」

「そっ、そんなことないよ。何も隠すことなんて……」

「私と里桜の仲でしょ? さっさと全部話しちゃいな」


 うー……。


 それから観念した私は、言わないでおこうと思っていたことを全て暴露した。

 日菜子とパーティーで別れたあと、実は成海さんに誘われてそのあとの時間を一緒に過ごしたこと。

 もちろん、一夜を共にしてしまったことも……。


「なるほどねー……里桜が隠そうとするわけだ。でもね、私に黙ってようなんて甘いから」

「ごめん……ちょっと、引くかなって思って」

「何も引かないし。話してくれない方が引くわー」


 チョコレートドリンクに沈み始めたクリームをすくって口に運びながら、日菜子は口先を尖らせた。

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