婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~
さすが日菜子。
昔から頭の回転は速かったけど、この少ない情報だけでだいたいの内容は整理して把握してくれたようだ。
「うん。まぁ、そういうことになるかな……」
日菜子にそう話してみて、ふと考えてしまう。
あの日、あの婚活パーティーに行っていなかったら、私は成海さんを知らなかった。
お見合いの席で初めて顔を合わせて、今と同じように関係が進んでいったはずだ。
もし、お見合いをする相手と知っていたなら、私はきっと成海さんと一夜を共にしなかった。
あの日の私は何かの魔法にかかったように大胆で、現実の自分とは別人だったと思う。
一夜限り……成海さんに恋をした。
確実に終わりが見えているとわかっていて、それでいいと納得して、彼に身を委ねた。
もう、会うこともないと思っていたのに……。
「え……『まぁ、そういうことになる』って何? それ以外にも何かあったの?」
「えっ……」