婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~


 部屋へと戻り、いつも通りにメイクと着替えを済ませる。

 傍らに置いたスマホを覗くと、六時十分前だった。

 音を立てないようにして再び部屋を出る。

 しんと静まり返っているこの感じだと、貴晴さんはまだ眠っているのだと思われる。

 キッチンに入り、朝食の支度をしようと準備を始めた。

 社員寮に住んでいた時は、朝は基本調理をしないで簡単に朝食を済ませていた。

 時間のある休みの日の朝や、日勤の晩御飯は自炊を心がけていたけれど、不規則な仕事というのもあって買って食べることも多かった。

 それにしても……本当に広くて使いやすいキッチンだ。

 今まで使っていたワンルームの、流しとコンロをなんとかつけたようなキッチンとは雲泥の差。

 これまでは作業できる場所がまな板を置くのにやっとくらいのスペースしかなかったから、部屋のテーブルなんかも引っ張って来て作業に使うことはよくあった。

 そうしないと、二品同時に作ったりすることは難しかったのだ。

 これだけ広いと、それだけで作業効率が上がる。

 鍋で出汁を取りながら、グリルで鮭の切り身を焼いていく。

 同時進行で卵焼きを焼き、野菜を千切りにして大根サラダを作った。


「おはよう」

「わっ!」

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