365枚のラブレター
「クララ、一緒に帰ろうぜ」
「うん」
クララは俺に
どんなチョコをくれるのかな?
もしかしたら
初の手作りだったりして・・・
俺は初めて
バレンタインでチョコをもらえることに
ウキウキしていた
でも
歩いても歩いても
クララからはチョコのチョの字も出てこない
もうすぐ寮に着いちゃうだろ・・・
もったいぶってないで早く渡してくれよ!
俺は楽しみでしょうがないんだから・・・
「歩君!私・・・歩君に・・・」
「何??」
キタ!キタ!この瞬間を待ってたんだよ!
俺はどう喜ぶか
シュミレーションまでしていたら・・・
「歩君に、言いたいことがあるの!
放課後に公民館に行くの・・・
もう・・・やめたい」
「え????」
俺の期待を裏切られた
「バイトでね・・・眠たくなっちゃうの
昨日もお客さんが注文したのと
違うお弁当を奏多さんに作らせちゃったし・・・
学校から帰ったら
バイトの時間までちょっと眠りたいの・・・」
クララは申し訳なさそうに
うつむきながら言った
チョコの期待を裏切られたイライラもあって
俺は強く当たってしまった
「それって
俺との時間がなくなるってことじゃん
バイトバイトで
ただでさえ一緒にいる時間が少ないのに
俺ともっと一緒にいたいって
クララは思わないわけ?」
「歩君と一緒にいたいよ
でも・・・
お金もらって働かせてもらってるんだもん
迷惑かけずに働きたいの」
「じゃあさ、バイトを減らせば良くない?」
「バイト減らしたら
生活できなくなっちゃうもん」
「だから
俺の貯めたお金使っていいって渡したじゃん
返されたけど
素直に受け取って使えばいいじゃん」
「私、歩君からお金なんてもらいたくない
もらっちゃったら
今の関係が崩れちゃいそうだもん」
「クララさ
本当に生活のためにバイトしてるの?」
「え?」
「琉生に会いたいから行ってるんじゃないの?
よく琉生と
教室でニコニコしゃべってるじゃん」
「・・・・・」
俺はこんなこと
言うつもりじゃなかったのに・・・
どんどんクララを傷つけ
追い込むようなことを口走ってしまう
「本当は俺より
琉生が好きなんじゃないの?」
俺はただ
違うって言ってほしかった!
琉生君なんて関係ない!
歩君が大好きだよって!
「私もう・・・
公民館には行かないから・・・」
そう言うと
クララは逃げ込むように
寮の中に入っていった
何だよ・・・
バレンタインデーに
何もくれなかったくせに・・・
俺は本気でクララにムカついた
琉生のこと好きじゃないって
はっきり否定しろよ!
俺のこと大好きだって言えよ!
クララへの怒りで頭の中がグルグルしてるとき
一人の女の子に声をかけられた
「高杉くん・・・
ちょっといい・・・?」
この子は確か・・・
1組の羽月紗耶香・・・
学年一美人だって
男子たちがよく騒いでいるから知っている
確かにモデル並みにスタイルがよくて
腰まで伸びたストレートの髪がサラサラで
綺麗な顔立ちの子だ
「高杉君が
2組のクララさんと付き合ってるって
知ってるのに
声を掛けてごめんなさい
でも私、体育祭で高杉君のことを見た時から
ずっと好きだったの
もらってくれるだけでいいから、
このチョコ、受け取ってくれないかな・・・」
「受け取るだけなら・・・」
「え?高杉君、いいの?本当にありがとう」
「ダメもとで聞いてもいい?」
「え?」
「私と付き合ってって言ったら、困るよね」
「それはごめん・・・クララがいるから」
「そうだよね。そうだよね。
ごめんごめん。でも・・・
勝手に高杉君のこと
好きでい続けても良いかな?」
「・・・別に・・・いいけど・・・」
「高杉君、ありがとう」
羽月の月のように穏やかな笑顔に
俺はドキッとしてしまった