高校生マフィア

雪姫

「先ずは…爽樹か」

帰りの電車の中、容赦(ようしゃ)無く叩き付けられる雨粒を眺めて呟いた

「…」

バッグの中に入った、黒いケータイを取り出した
着信履歴は、母の名前に混ざって春樹の名前も入っていた

【おっすー☆
 明日からだな♪
 つーか、今暇ー?
 遊ばね??↑↑】

「~~~……;」

まったく…
せっかくシリアスな雰囲気だったのに
この馬鹿…

「…?」

短いメールなのに、下に続いていた

スクロールしていくと、短い文章


【ケガには気をつけてな☆!!】


「…チャラいんだよ」

それでも、少しだけ笑ってしまった




「…いつからだろう」

いつからだ?

去年の入学式は、初対面でチャラいイメージを受けた

去年のインハイは、全国の決勝で負けてボロボロ泣いているのを見て「男が泣くなバカヤロウ」と怒った

去年の運動会は、転んだ自分を起こした奴の手を振り払った

去年の合唱コンクールは、珍しくまとまらないクラスを笑わせながらまとめて指揮をした奴の指揮を見てピアノを弾いた

去年の終業式は、卒業するわけでも無いのにアドレスを交換した

今年の始業式は、同じクラスになって飛び跳ねる奴の隣で少しだけ微笑んでしまった



いつから、私は春樹に恋をしたんだろう
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