高校生マフィア
「………」

春樹の声が聞こえた
いつもの甲高い声と違った声だった

《…何テンパってんのお前?》

向こう側で、春樹が笑った気がした

《焦んなよっ…俺も姫も不安になってくんだろー?》
「………」
《…だーいじょーぶ。俺、意地でも姫は護るし☆》
「馬鹿っ。俺はお前等を誰も死なすわけには…」
《死なねーよ…俺は、頑丈さが取り得だからな》

弱々しい春樹の笑顔が頭の中に浮かんだ

《…慧は……慧ならダイジョブだって》

「マフィア相手に…高校生が太刀打ちできるか…っ」


フッ。と、鼻で笑われた気がした

《お前、学年1位の秀才だろぉ?…バカで力任せのマフィアなんかに負けるかよ…日本1頭イイ日本1真面目な高校生が…》

「は…る…」



《ホイ!早くちゃんとした思考回路取り戻せ…っ…ダイジョブだから。慧ならダイジョブだって》


《プツ》




「…………」

通信が切れた

「慧…大丈夫?」

卓真が椅子から立ち上がった

ぐっと、机の上に置いた手を握った

「……大丈夫」
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