高校生マフィア

春樹が、右腕を真っ赤に染めて帰ってきた
傷は小さかったけど、出血がヤバかった
片腕使えなくなってんのに、絶対に意識を戻さない雪姫は離さなかった
談話室のソファに寝かせておくと、30分後に雪姫が目覚めた
大したケガじゃなくて、春樹が感極まって泣いちまった

「よかったな!でも2人とも大丈夫か?」
「私は大丈夫」
「俺も…多分…」
「そっか…」

笑うと、笑顔が引きつっていた
次は――俺の番だ
俺が、敵陣に乗り込んで、暴れてくる

「…おーい、陸?」
「…っえ!!あ、ぉうっ」

黙っていると、後ろから卓真に話しかけられた
ビックリして急いで振り返ると、椅子に座ったまま、パタンとノートパソコンを閉じた

「えーっと…だいじょーぶか?」
「あ、ぁあ。大丈夫…かな」

少しだけ笑って、見えないように震える右手をグッと握った



「じゃ、行きますか!!」

精一杯明るい声が出るようにデカい声出して、机に置いた刀を掴んだ

「無理すんなよ」

慧がボソッと言った
慧、1番キツいもんなぁ
爽樹も春樹も雪姫もケガして
作戦を考えて統括してるリーダーの慧が1番キツいんだよなぁ

「ダイジョブだって!!」

ニカッと笑った。と思う

「皆の敵討(かたきう)ちしてくるな!!」
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