高校生マフィア
「T…T…N…」

ぴ。ぴ。と静かに画面にタッチしてパスワードを入力した

「U…と」

慧に呆れられながらも覚えた長ったらしいパスワードを入力した

すると、目の前のドアがウィィ…ンと開いた

「…マジで?」

うわあ…あたし侵入しちゃったよ…
まあ、そのために部室でわざわざウインドブレーカーに着替えたんだけどね

「で…どこ行けばいいんだっけ…」

確か、慧の指示の通りに動けば目的の部屋に行けるはず
必ず重要な会議はその部屋で行われるらしい
そのファミリーの中でも、ボスと幹部と、少数の部下しか知らない、秘密の部屋

行くのは難しいけど…
その分、収穫は、とてつもない…

「えっと…」

声を最小限に抑(おさ)えて、壁にへばりついて近づいてくる足音に神経を集中させた
1つ…多分、男…かな?

「…」

少しだけ廊下に顔を出すと、立ち止まったスーツ姿の男の人の前にある壁が、スーっと開いた

「え……」

あそこ…!?

男の人が中に入った
あそこ…かな?あそこなのかな?

でも、迷ってる場合じゃなかった
急がないと、壁が元に戻っちゃう

「…やば…!!」

ダッシュで男の人の後ろを追いかけた
あたしが中に入った瞬間、ドアがスーッと閉まった

「危なかったあ……」

ってか、こんな簡単に侵入できちゃった…
これって、あたしが才能あるってよりも、警備が薄すぎんじゃないの?
だって、ただの女子高生が入れちゃうんだよ?
マフィアって、もっと映画に出てくるような凄いアジトかと思ったら、ちょっと高級な普通の家だったし、暗証番号入力するだけで玄関から入れちゃったし…

「何かなあ…」

かなり緊張したのに、調子狂うなあ…

首をかしげながらも男の人の後ろを無言で付いて行った

ってか背後に注意しろよ…相手は女子高生ですよマフィアさん;
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