恋ごころは眼鏡でも見えない
小林さんのことが好きだと自覚したのは、今年の夏休み。最近のことだ。
制服の小林さんとは印象がまったく違う、私服の彼女を見つけた。
いつも頭の下の方で纏めている髪は高い位置でポニーテールになり、オフショルダーの白いブラウスにハーフパンツを合わせて素足にサンダルを履いていた。
似合っていた。
小林さんは人を待ってる様子だった。
デートなのか、そわそわと相手を待つ小林さんに、胸がざわついた。
俺だったらこんなに暑い中で待たせないのに。とか、その服装を褒めたくるのにとか。
その時に気づいた。
俺、小林さんが好きじゃん、と。
気づいてみれば、俺はだいぶ前から彼女のことが好きだったような気がする。
彼女がクラスの雑用を押し付けられれば手を貸した。
重そうな物を運んでいれば代わりに運んだ。
なんでも一人でやろうとするから、目が離せなかった。
体育祭では、誰よりも小林さんに良いところを見せたかったし、バレンタインにはチョコが貰えなくてへこんだ。
今年度のクラス替えでは自分の名前を見つけるより先に、小林さんの名前を見つけてしまうくらいには意識してた。
あれ? 結構好きじゃね?
え、好きかも?
だってかわいい。
あ、好きだ。