恋ごころは眼鏡でも見えない
「陽向って小林さんと接点あった?」
小雪が腑に落ちないといった様子で聞いてきた。
「……黒板消すの手伝ったり、荷物運ぶの手伝ったり……」
小雪は眉間のシワを濃くした。
「……もっと共通点とか」
……共通点……? しばし考える。
「……あっ! 電車の方向が一緒!」
「はぁ……」
小雪があきれた顔でこっちを見ている。
悲しくなるからやめてほしい。
「でも、地味眼鏡だろー?」
「だから、声がでかい! 地味眼鏡って呼ぶな! 小林さんだ!」
「すぐ付き合えそうじゃね?」
「はぁ?さっきの接点の無さ聞いてた?へたれ陽向は無理無理」
高橋と小雪が好き放題言っている。
いつものことだからと無視して、習慣になってしまった小林さん観察をする。
小林さんが不意にこちらを向いた。
その表情を見て、思わず声が出る。
「……最悪」
言い争いをしていた2人が、俺の方に注目した。
「すごく睨んでた……」