「ひねくれモノめッ!」

5年の間に色々な機種が出ていた様で、ソフトのケースを見ているだけでも飽きない。

どのゲームをやろうかな。
お、このシリーズ知ってるぞ。
これ、確かMMOのやつだ。
恋愛ゲームも面白そう・・・いや、買ったらまじで結婚出来なくなりそう。

にこにこワクワクしながら次々ソフトを見ていくと、見たくない現場に出くわしてしまった。


万引きの現場だ。


厳密に言うと、まだ万引きはしてない。
でも、あの制服の彼は万引きする気だぞ。そう勘が告げていた。
私の悪い勘は当たる方だと思う。

私はこっそり彼に近づき、彼がゲームソフトをカバンに入れようとする直前、彼の腕を掴んだ。

「余計なお世話だと思うけど、それ、どうすんの?」
「え、と・・・Gメンの人ですか?」
「いや?無職だけど。」
「え?は??」
「それ、欲しいの?」
「へ??は???」
「欲しいなら買ってあげるよ。」
「はい????」

私は彼の持っていたソフトを引ったくる。
恋愛ゲームの様だ。恥ずかしくてレジに持っていけず、万引きしようとしたのだろうか?
思春期かよ。思春期か。

私は何事もなく、レジで会計を済ませた。
制服の彼はまだ同じ場所に立っていた。
呆然としている。さっきはちゃんと見てなかったけど、よく見るとイケメンだ。

「はい。あげる。」
「いや、意味わかんねぇ」
「思春期で血迷った青年に、オネーサンからの施しだ。そら、受け取れよ。」
「ししゅ!?こ、これには理由が」
「青年の主張はこんな所でするもんじゃないよ。私は忙しいの。とっととそれ持ってお家へお帰り。」

全くもって暇人だけど、チラチラ人がこちらを見ているのでこの場から離れたかった。
血迷った青年を(ある意味)お金で解決させるとか、なんか富豪っぽい。
自分で言うのもなんだけど、施しとか!何様だよ!草生えるわ!

あー、夕飯どーしよっかなー。
雰囲気良さげなバーとかに洒落こもうかな。ホストクラブに行ってみて、イケメン侍らせながらピンクのお酒を頼むのもやってみたい。
・・・ふふふ。富豪っぽい。
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