ココロの好きが溢れたら
「いや、きっと母さんだな…」
帰る前に風呂を沸かしていったんだろう。
母さんなら、俺が帰ってくる時間も分かってるから。
身体を十分に温めてから浴槽を出た。
濡れた髪をタオルで拭きながらキッチンへ行く。
俺は必ず風呂上がりにサイダーを飲む。
なければ炭酸水。
この習慣は別に体に良いからとかではなくて、ただ風呂上がりに飲むと美味いから。
ガキの時からずっとそうしていたから、今では飲まないとなんとなく気持ち悪くなるんだ。
母さんのことだから、サイダーを冷蔵庫に入れておいてくれてるはずだ。
その予想通り、冷蔵庫を開けるとサイダーのペットボトルが入っていた。
それを取り出してキャップを開けようとした時。
「あ、待ってハル……」
今まで何も言わなかった女が声を上げた。