一生一緒
時刻は3時過ぎ。






今どこに向かっているか聞くこともなく棗の運転に身を任せていると大きな門を通り越しているのに気が付く。






前を見ると何処かの旅館かと疑ってしまうくらい大きな家が現れた。






「?ここは?」






「俺の家」






「…え?」






しれっと言う棗に私は固まる。






「ココドコダッテ?」






「俺の家。」






変わらない表情で言う彼に戸惑っていた私も落ち着きを取り戻す。







「何で棗の家?」






「他に行くところもないからな」






それには私も頷いてしまう。






車を止めて棗に手を引かれて玄関と思える広い大きな扉から家の中に入った。






「お邪魔します」





棗に無言で促されて靴を脱いで上がるとバタバタと慌ただしい足音が聞こえた。





次に若い男女が走ってきてその後ろから執事のようなスーツを着た男の人も走ってくる。





「「いらっしゃい~!!」」






「旦那様、奥様!ご当主であらせられるお二方が室内で走るとははしたないですよ!」





「いいじゃない、畔戸!棗が彼女を連れてきたんだから!!」






あまりにも若くて綺麗なこの人は棗の姉ではなく母親のようだ。





「今は礼儀作法よりもこっちが優先だって!」





こちらはイケメンってほどではないがガッチリとした体格で身長が高く棗の父親のようだ。






私が戸惑っていると棗がバッサリと言う。






「うるせーよ。」






「まぁまぁ棗ったら照れちゃって」






笑顔で交わす母親。






「は、初めまして……」






そう言うと一層笑顔を濃くする二人だったが、暫くして固まったように私を見つめる。





「?」





棗と顔を見合わせると彼の母親が恐る恐ると言った感じで聞いてきた。






















「…もしかして……柊沢美幸…ちゃん?」



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