アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
「離して!」

私は益城さんの腕を、振り払った。

「つむぎちゃん!行かないでくれ!」

「そんな事できない!追いかけなきゃ、五貴さんが離れて行ってしまう!」

私の目から、涙が零れた。

「……私には、五貴さんしかいないの。」

そう言って私は、非常階段から出て、五貴さんを追いかけた。


五貴さんは、社長室の椅子に座っていた。

「五貴さん!」

私が話しかけても、顔を上げてくれない。

「誤解なの。益城さんとは、何でもないから!」

「本当なのか?」

こっちを向いた五貴さんは、冷たい目をしていた。

「本当は、有我の事が好きなんじゃないか?」

そう言われて、私は持っていたカバンを、五貴さんに投げつけた。

荷物が、机の上に散乱している。

「うっ……うううっ……」

思わず声を出して、泣いてしまった。


どうして、こんな事になってしまったんだろう。

私の好きな人は、五貴さん、ただ一人だけなのに。
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