アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
ほう、ボロネーゼって言うのか。

私は、もう一度メニュー表を見た。

ボロネーゼは、960円。

はっははぁー、ギリ払える。


「あのっ!」

「はい?」

私は、右手を少し挙げた。

「ここ、私にご馳走させて下さい。」

折橋さんが、目をぱちくりさせている。

「さっきの、お礼をしたくて。」

「はははっ、気にしなくていいのに。」

「いえ。」

ドキドキしながら待つと、折橋さんはあの優しそうな笑顔を返してくれた。


「じゃあ、お言葉に甘えて。」

私は、ほっとした。

「よかった。」

これで、貸し借り無しで、別れられる。


「そっか。」

「えっ?」

「そう言う人なんだぁって、つむぎさんは。」

折橋さんはそう言うと、私をまた柔らかい表情で、じっと見つめてくれた。

なんだろう、この感じ。


「決めた。」

「はい?」

私が前のめりになると、折橋さんも前のめりになった。
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