アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
「えっ……」

そのテーブルまでの間、私は不自由な生活から連れ出して貰っている、どこかの映画のヒロインみたいに、もうどうなってもいいと思った。

このまま、何も悩みのない世界に、連れて行ってほしい。

その瞬間、周りはスローモーション。

周りには、お花畑が飛んでいた。


「ここにしましょう。」

「は、はい!」

ハッと気が付くと、歩いた距離はほんの1m。

そんな短い間に、あんな逃避行していたなんて。

どんな想像力だよ。


「何がいいですか?」

「えーっと……」

メニューを見て、愕然とした。

パスタだけで、800円。

中には、1,000円を超えるモノもある。

そんなパスタ、食べた事ない。


「……えっと、ミートスースありますか、ね。」

「分かりました。ミートソースですね。」

折橋さんはあっさり返事し、店員さんを呼んだ。

「ボロネーゼを二つ、お願いします。」

「畏まりました。」
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