捨てられる前に捨てましょう
悩んだ結果不本意ながらもアディからの贈り物シリーズを、夫婦の居間の棚に並べた。
素材も色もバラバラのそれらは強烈な個性を放ち、次期公爵夫婦の気品溢れる居室に強い違和感を醸し出している。
一言で言えば“変”。だけど私は気にしないことにすると決めた。
贈り物を大事に取っておいたと知れば、アディが喜ぶんじゃないかと思ったからだ。
アディを喜ばせようとしている自分の行動に少し納得いかないけれど、夫婦円満な方がいいに決まっている。
いつも張り合ってばかりだったけれど、これからは私も態度を改めなくては。
ぬかりなく結婚式までの日程をこなしていた私は、ある日久々にクラウザー公爵家の屋敷を出た。
青いドレスに白い帽子。髪はふわりとまとめて白い花の髪飾りで止めている。清楚な雰囲気で自分ではなかなか似合うと思っている。
馬車は順調に進んで行く。
行き先は王宮で、アディと昼食を取る約束をしているのだ。
ついでに結婚式についても話し合いたい。段取りなどは王家とクラウザー公爵家の者たちが完璧にしているけど、当人にしか分からない心構えみたいなものもある。
アディと、少し緊張しソワソワした気持ちを分け合いたかった。
それなのに……王宮に着いてすぐに、私はとんでもない光景を目にしてしまった。