君の声が聞きたい
隼人君がちゃんと挨拶してくれたことに私はほっとしていた。
よかった。今まで通り話せて………。

「昨日は大丈夫だった?」

「うん!」

私は笑って答えた。
やっぱり二人といると嫌なことを忘れられる。
心の底から笑える。

「今日、学食行く?」

「あっ、ごめん。今日………食欲なくて………」

「そうなの?」

「………」

康平君は心配している表情で私に聞いてきた。
隼人君は黙ったままで表情を一切変えない。
でもしょうがない。
二人といてもなぜか食欲がでてこないで。
前までなら楽しみで仕方なかったのに。

「………琴音」

「はい?」

「無理だけはするなよ」

「………はい」

よくわからないけど無理はしちゃダメか………。
その時、私の視界がグニャっと歪んだ。

「っ!」

私はすぐ近くにあった机に手を置いて体を支えた。
そして私はなぜか堅めを押さえる。

「琴音っ!」

「琴音ちゃん!?」

私………どうなるの?
何で………、ここは私が幸せになれる場所なんだよ?
そんなところで倒れるなんて………嫌だよ………。

「琴音………っ!」

私は隼人君の声に目を見開いた後、意識を手放した。

『琴音………っ!』

あの夢の中の彼と似ていた。
何かがー。
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