極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~
夜の夫婦生活は強制しないと言っていたけど、朝晩のキスだって、私にとってはハードル高い。この上お風呂もって言われたら、死ぬところだった。
「基本、家事はお前の担当な。お前ができないとき、気が向いたときは俺がやる」
「はい」
ここは反論できない。本当の妻でもないのに裕ちゃんの稼ぎで食べさせてもらう罪悪感がある。
でも母と違って、家事が嫌いなんだよなあ。
早くもお掃除ロボットの導入を考える私だった。
「日中暇だったら、習い事でも趣味でも好きにしていい。家のことを放置せず、なんとなく適当に保ってくれれば」
「はい」
「あとは……ごめん、電話だ」
裕ちゃんはぱっと手を放し、携帯をポケットから取り出す。
「ああ、うん。そうでしたね。すみません。今日引っ越してきたばかりなものですから。……え? 日曜。急ですね。来週でいかがです? ダメ。はいはい、わかりました」
仕事関係の話だろうか。裕ちゃんが謝るほどの相手?
悪いと思いながら、聞き耳を立ててしまう。
ごく短い会話が交わされたあと、裕ちゃんはため息をつきながら携帯をしまった。
「どうしたの?」
「来週の日曜、両親がうちに遊びに来ることになった」
「ええっ」
背中が硬直する。
お、お義父さんとお義母さんが新居に来る……。