極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~

「ねえ、こういうのとかこういうの使わないの?」

 ラベルが何語かもわからないから、ポップを見る。

 バルサミコ酢とか、生クリーム、オリーブのオイル漬け、青カビが生えたチーズ、ハーブの葉っぱ、など。

「ああ……この前テレビでやってたな。魚の口からハーブ突っ込んでオーブンで焼くやつ」

「シャレオツなやつね」

 うちの母の料理は庶民的で、あまり冒険をしなかった。

 珍しい食材にはしゃぐ私を、裕ちゃんは優しい眼差しで見ている。

「チーズは食べるけど、バルサミコ酢や生クリームは使わないな」

「どうして?」

「たまに、しかも少ししか使わないから、使い切る前に悪くなってしまう」

「へー」

 大家族ならまだしも、ひとりやふたりじゃ、珍しい食材は使いきれないのね。

 納得していると、裕ちゃんが「バルサミコ酢は、そんなに珍しい食材でもないぞ」とこっそり教えてくれた。

 お肉コーナーに移動し、メイン料理に使う肉を吟味する裕ちゃんを後ろから見ていると、ふと視線に気づく。

 周囲を見ると、徐々にお客さんが増えてきていた。高そうな服を着た、小奇麗な奥様ばかりだ。
< 58 / 210 >

この作品をシェア

pagetop