極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~
「ねえ、こういうのとかこういうの使わないの?」
ラベルが何語かもわからないから、ポップを見る。
バルサミコ酢とか、生クリーム、オリーブのオイル漬け、青カビが生えたチーズ、ハーブの葉っぱ、など。
「ああ……この前テレビでやってたな。魚の口からハーブ突っ込んでオーブンで焼くやつ」
「シャレオツなやつね」
うちの母の料理は庶民的で、あまり冒険をしなかった。
珍しい食材にはしゃぐ私を、裕ちゃんは優しい眼差しで見ている。
「チーズは食べるけど、バルサミコ酢や生クリームは使わないな」
「どうして?」
「たまに、しかも少ししか使わないから、使い切る前に悪くなってしまう」
「へー」
大家族ならまだしも、ひとりやふたりじゃ、珍しい食材は使いきれないのね。
納得していると、裕ちゃんが「バルサミコ酢は、そんなに珍しい食材でもないぞ」とこっそり教えてくれた。
お肉コーナーに移動し、メイン料理に使う肉を吟味する裕ちゃんを後ろから見ていると、ふと視線に気づく。
周囲を見ると、徐々にお客さんが増えてきていた。高そうな服を着た、小奇麗な奥様ばかりだ。