極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~
なんでもいい。外に出たい。外に出るなら、意味のあることをしていたい。
リストラされたおじさんみたいに、夕方まで図書館や公園でぼけーっとなんてしていられない!
「じゃあ、じゃあ……」
言いかけた私の言葉をぶった切って、裕ちゃんが少しだけ声を荒らげた。
「大体仕事するにしても、どうやってするんだ。星野羅良の名前でするのか? 希樹の名前で住所は実家にしておくのか? 身分証は? 年金や保険証はどうなる? 扶養届は?」
一気にまくしたてられ、声を失った。
「秘密が外部に漏れるきっかけになるだけだ」
ちゃんとしたところで働こうとすると、自分の身分を明かさずにはいられない。
いい加減な情報で働かせてくれるところは、ろくな仕事場じゃないだろう。
「じゃあ、私のストレスはどうしたらいいの。悪いのは失踪した羅良だから、うちの実家の方が立場が下だから、全部我慢しろって言うの?」
テーブルの天板をにらんで吐き出すと、裕ちゃんのため息が聞こえてきた。
面倒臭い。そう言っているように聞こえた。