極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~
「そんなこと、誰が言ったんだ」
「もういいよ!」
私は本当の妻じゃない。好きじゃない。愛してもいない。
だから、義弟が入り浸るくらい我慢しろよって思ってるんでしょ。
これが羅良だったら、きっと違うんだ。
そう思うと、泣きそうになった。
「もういい。私、明日から外に出る。健ちゃんが来そうな時間、ぜーんぶウォーキングしてやるからー!」
膝を壊したと言っても、それは短距離の選手として通用しなくなったというだけの話。
普通のウォーキングだったら、適度な休憩を挟めば問題ない。
「ちょ、ま……」
「おやすみなさい!」
裕ちゃんが悪くないのはわかっている。
彼は被害者で、羅良を責める権利がある。
うちの実家の都合で、望んでいない結婚生活をしてくれている。
だから、本当の夫婦みたいな対等な関係を望んじゃいけない。
でもさあ! 私だって周りに振り回されて不自由な思いをしてるんだよ! そこはわかってよ!
急に爆発しそうな思いを、必死で抑える。
「くっそう……健ちゃんさえ、いなければ」
あいつさえいなきゃ、まあまあ仲良くやっていられたのに。
自室の緊急用ベッドにダイブし、目じりからぽろりと零れた涙をシーツに押し付けた。