愛しい女(ヒト)
「郁哉さん。ご馳走さまでした。」


「いいえ。こっちこそ来てくれてありがとう。香保ちゃんに会えて嬉しかったよ。」


「ありがとうございます。また今度ゆっくり来ますね。」


そう言った彼女は、ふいに俺の方を見て、


「藤倉さん 突然お邪魔してすみませんでした。私はこれで失礼します。おやすみなさい。」


「おやすみなさい………」

そう言って彼女は帰っていった。




しばらく、彼女が出ていった扉を見つめていて、ふと気づいた。


「名前聞くの………忘れた………」


「お前の一目惚れの相手って………香保ちゃん?」


そんな俺の言葉に郁哉が驚いた顔で聞いてきた。


「ああ。そうだ。郁哉 知り合いだったんだな。」


「杏の会社の後輩だ。」


郁哉の言葉にほんの少し彼女に近づけた気がした。




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